キミを想う。



かき氷とりんご飴を買って、加穂さんのところに戻る。


「はい、かき氷」


「ありがとう!ゆずちゃんもありがとう」


「い、いえ!」


段々と人混みが増えてきて、賑やかになってきた。



菜々ちゃん達はお店が混んでいるのか、まだ戻ってきていない。



「声かけられなかった?」


「え、うん!誰も声かけないよ」


ははっと笑う加穂さんに瀬野くんは「すぐバレる嘘つくなよ」と少し怒った表情をする。



「はい。ごめんなさい…。何人かに声かけられました」


ペコッと謝る加穂さんに、瀬野くんは溜め息を吐いた。


恐らく加穂さんが心配で堪らない溜め息なんだろうな…と感じた。



「皆、遅いね。あ、ちょっとごめん…」


電話の着信が鳴っていることに気付きスマホを見たが、加穂さんは出るのを躊躇っている様子だった。



「……出たら?」


「でも…」


「いいから」


「…ごめんね」


気まずそうに電話に出ると私たちから少し離れた所で会話を始めた。



瀬野くんと二人でいるこの場の空気が何故か重く感じられた。


何か話した方がいいのかな…。


さっきまでと違って、瀬野くんの纏っている空気がピリッとしている。



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