キミを想う。
「あ、あの…」
「ごめん。困らせて」
そう言っていつもの優しい表情を浮かべる瀬野くん。
「い、いえ…」
「郁斗、ごめん…。その拓ちゃんが…」
電話を終えた加穂さんは気まずそうに"拓ちゃん"と名前を言った。
「…なんて?」
「えっと…、そこまで来てるから」
「会いたいって?」
「うん…」
恐る恐る瀬野くんの表情を窺う加穂さんに瀬野くんは呆れたように溜め息を吐いた。
「行けば?折角会いに来たんだし」
「郁斗…。ごめんね。ありがとう!ゆずちゃんもごめんね!」
そう言うと加穂さんはかき氷を片手に急いで走って去っていった。