キミを想う。
「ごめん。騒がしくて」
「えっ、ううん!……あの、"タクちゃん"って…」
「あー…加穂の彼氏だよ」
えっ?彼氏…?
瀬野くんは「はぁ~…」とまた溜め息を吐くと頭をがしがしっとかいて、言葉を続ける。
「加穂って俺らより一個上なの」
「えっ?!」
さっきからびっくりすることが続いて言葉にならない。
「びっくりだろ?見た目落ち着いて見えるけど、中身マヌケだし。ゆずと違って全然女子力ないし」
そう言って笑う瀬野くんは何だか切なく寂しい表情をしながら、無理矢理笑おうとしているように見えた。
「でも、好きなんですね…」
「えっ……?」
一瞬、間があったかと思うと、瀬野くんの顔はカァーッと赤くなっていった。