キミを想う。



「ごめん。騒がしくて」


「えっ、ううん!……あの、"タクちゃん"って…」


「あー…加穂の彼氏だよ」



えっ?彼氏…?


瀬野くんは「はぁ~…」とまた溜め息を吐くと頭をがしがしっとかいて、言葉を続ける。



「加穂って俺らより一個上なの」


「えっ?!」


さっきからびっくりすることが続いて言葉にならない。



「びっくりだろ?見た目落ち着いて見えるけど、中身マヌケだし。ゆずと違って全然女子力ないし」


そう言って笑う瀬野くんは何だか切なく寂しい表情をしながら、無理矢理笑おうとしているように見えた。



「でも、好きなんですね…」


「えっ……?」


一瞬、間があったかと思うと、瀬野くんの顔はカァーッと赤くなっていった。



< 148 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop