キミを想う。
「せっかく可愛い声してんのにさ、黙ってたらもったいねぇよ?」
「…っ!」
可愛い声って!?
さっきも廊下で言ってたけど。
「でも菜々子しかその声知らねぇんだよな?その声を俺も知ってるって得した気分だな」
嬉しそうに笑う瀬野くん。
得した気分って何…?
「俺さ、笹原さんの声初めて聞いた時、ドキドキしたもん」
「…えっ!?」
「だからあん時、無意識に腕掴んでてさ」
ハハッと照れ臭そうに笑う。
この前、急に腕掴まれたことかな?と思い出す。
「声聞きたいのにさ、全然喋らねぇんだもん。だからさっき声かけられた時、すげぇびっくりした」
"声が聞きたい"
その言葉にカァーッと顔が熱くなる。