キミを想う。
「あれ?菜々子は?」
「何か買い忘れがあるかで、急いで何か買いに行った」
瀬野くんの問いにタケくんが屋台の方を指差し答える。
「郁斗!!」
大きな声で瀬野くんの名前を叫び、菜々ちゃんが汗だくで戻ってきた。
「これ!好きでしょ?あげる!」
そう言ってラムネを渡した。
「はっ?えっ、サンキュー…」
突然のことで戸惑いながらも、瀬野くんは菜々ちゃんからのジュースを受け取った。
「あ、ごめん!走ってきたから危ないかも…」
その言葉を聞く前に栓を開けてしまった瀬野くんは、勢いよく溢れ出てきたラムネで手がベトベトになってしまった。
「…マジか」
「ダッセ…」
落ち込む瀬野くんに三和くんは呆れたように言った。
「最悪…。ちょっと洗ってくる」
テンションが少し下がった瀬野くんは近くにあるトイレへと向かい、菜々ちゃんは瀬野くんの背中を見つめていた。