キミを想う。



「だからこれでおあいこ。郁斗が誰を好きでも私はまだ諦められないし、二人がくっつかない以上諦めるつもりもない」


「…すごいな。菜々ちゃん。格好いい」


「何言ってんの?!格好良くなんてないよ。諦めが悪いだけ」


そう言って菜々ちゃんはいつもみたいに優しく微笑んだ。



「…瀬野くんってラムネ好きだったんだね」


「さぁ?知らない。適当に買って渡しただけだし」


「えっ!?そうなの?」


「うん。何か辛そうだったから励ましたくて。でもどう励ましたらいいか思い付かなくて、ラムネでも飲んだらスッキリするかなって」


気持ちがスッキリするわけじゃないけどさ…と菜々ちゃんは苦笑した。



やっぱり菜々ちゃんは凄いな。


格好いい。


「待たせて悪い。トイレ混んでて」


手を洗って戻ってきた瀬野くんは、「ユキとそこで会った」とユキくんと一緒に戻ってきた。



ユ、ユキくん!!


心臓がドキッーと飛び跳ねる。


まさか予想していなかった登場に心臓がバクバクと激しくなっていくのが分かる。




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