キミを想う。
「結局、ユキも来たんだ」
「み、みたいだね…」
私の反応がおかしいと感じたのか、菜々ちゃんはニターッと悪そうな表情を浮かべた。
「なんかあったでしょ?」
再びドキーン!と心臓が跳ねる。
「な、なんにもないよ!」
慌てて否定するが菜々ちゃんは納得していない表情で、「本当かなー?」と言いながら瀬野くんやユキくんの方を見つめる。
「花火始まるから行くぞ」
三和くんの合図で花火がよく見えるポイントに向かい始める。
人混みを掻き分けはぐれないように進んでいく。
人多いな…。
履き慣れない下駄で足も痛くなってきた。
ズキズキして痛いな…と足が前に出しにくくなってきた瞬間、菜々ちゃんと繋いでいた手が、人混みの勢いに負けて離れてしまった。
「あっ、菜々ちゃん!」
「ゆず!」
あっという間に引き離されてしまい、どうしようかと思った瞬間、誰かに手首を掴まれた。