キミを想う。



「結局、ユキも来たんだ」


「み、みたいだね…」


私の反応がおかしいと感じたのか、菜々ちゃんはニターッと悪そうな表情を浮かべた。



「なんかあったでしょ?」


再びドキーン!と心臓が跳ねる。



「な、なんにもないよ!」


慌てて否定するが菜々ちゃんは納得していない表情で、「本当かなー?」と言いながら瀬野くんやユキくんの方を見つめる。



「花火始まるから行くぞ」


三和くんの合図で花火がよく見えるポイントに向かい始める。


人混みを掻き分けはぐれないように進んでいく。



人多いな…。


履き慣れない下駄で足も痛くなってきた。


ズキズキして痛いな…と足が前に出しにくくなってきた瞬間、菜々ちゃんと繋いでいた手が、人混みの勢いに負けて離れてしまった。



「あっ、菜々ちゃん!」 


「ゆず!」


あっという間に引き離されてしまい、どうしようかと思った瞬間、誰かに手首を掴まれた。




< 155 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop