キミを想う。
「こっち」
そう言って人混みを掻き分けてズンズン進んでいき、お祭りの屋台から少し離れた神社の近くのベンチに無理矢理座らせられる。
少し離れただけで、遠くに見える屋台の明かりが、祭りの賑やかさを暗闇の静まり返った空間に伝えてくる。
「足、見せて」
「えっ、ユキくん!?」
勝手に下駄を取ると鼻緒で赤く擦れた部分を見つめる。
「絆創膏ないの?」
「あ、あげちゃってない…です」
持ってきていた絆創膏を加穂さんにあげてしまっていた。
それよりも片膝を地面につけ、平気で他人の足を躊躇いもなく触るユキくんにちょっとドキッとしてしまう。
「大丈夫だよ!?そんなに痛くないし!それより早く瀬野くん達探さないと」
上目遣いでじっと見つめてくるユキくんの視線に堪えきれずに、慌てて何か話題を探す。
「別に探さなくてもいいけど」
「えっ?」
しゃがんでいたユキくんは私の隣にゆっくり腰かけた。