キミを想う。



「…ほっといたら?」


「で、でも…」


呆れたように言うユキくんと瀬野くんと加穂さんの姿を交互に見る。


やっぱり止めた方がいいのかな?とベンチから立ち上がった瞬間、花火が打ち上がる音がし、今までと比べ物にならないくらいのバーン!!と迫力のある花火が打ち上がった。



「……っ」


大きな花火を背景にケンカしていた二人の姿が重なっているのが遠くからでも分かった。



ズキッと胸が痛む。


言葉が出てこない。



「…だから言ったのに」


目の前が真っ暗になる。


暖かい優しい手が私の視界を遮ったからだ。



「……今のは忘れろ」


そう言ってユキくんは私の肩を引っ張り、優しく胸のなかに埋めて抱き締めた。



涙が溢れた。



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