キミを想う。
「あ、あの送ってくれてありがとうございます」
「…うん」
花火が全部打ち上がり終わる前に花火大会を後にし、ユキくんは家まで送ってくれた。
まだポツポツとしか帰っている人がいなく、帰りの電車も座ることが出来た。
お互いに何も話さずただ無言のまま時間が過ぎていき、夜道は危ないからと親切にも家まで送ってくれた。
「…さっきの」
「えっ?」
「いや、何でもない」
ユキくんは何か言いかけ、やっぱり止めとこうと思ったのか話すのをやめた。
一瞬、俯くとすぐに顔を上げ、私の顔をじっと見つめてくる。
その視線にドキッと心臓が鳴る。