キミを想う。



「…明日、暇?」


「えっ、あ…はい」


「11時に駅で待ってる」


「はい………って、えっ!?」


いきなりの誘いに頭が追い付かず、びっくりして下に顔を背けるユキくんの顔を見る。


玄関の門扉前はちょうど外灯もなく薄暗い。


ユキくんがどんな表情をしているか確認しようと覗こうとするが、ちゃんと見えない。



「見なくていいから」


そう言ってまた大きな手で私の目を覆うと咳払いをして、「じゃあ明日」と言って帰っていった。


帰っちゃった…。


段々と小さくなっていくユキくんの背中を見つめる。



ユキくんは何を考えているんだろう…。


よく分からない。


何だか今日は疲れた。




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