キミを想う。



「あっ!笹原さん!」


「あの噂本当?!」


「真田くんと付き合ってるって」


またしてもクラスの女子達が一斉に私の席へとやってきて、"真田くん"の話題を出してきた。



「えっ、えっと……」


さっきから一体何が起こってるんだ?


遠巻きに他の女子や男子達もチラチラとこちらの状況を見てはこそこそと何かを話している。



「なにやってんの?」


登校してきた瀬野くんが不思議そうに隣の席に鞄を置きながら、珍しく私に群がる女子に声をかけた。



「あ!郁斗なら知ってるよね?!」


「あの噂って本当なの!?」


「噂?」


「笹原さんと真田くんが付き合ってるって!」


「…はっ?マジ?」


瀬野くんは驚いたように私を見たかと思うと、すぐに苦笑して言葉を続ける。



「それはないだろ。嘘だよ。誰がそんなデマ流したんだよ」


「デマじゃないし!私の友達が夏休みに見たって言ってたんだから」


「違うよな?」


どうなんだよ?と瀬野くんが見てくる。



「……あ、あの」


私の小さな声に女子達の意識が集中するのが分かる。


手に変な汗をかきながら握りしめ、頑張って皆の質問に答える。



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