キミを想う。



「さ、真田くんって誰ですか?」


「………えっ?」


私の発言に周りにいた女子達が言葉を失ったかのように黙った。



「あははっ!ゆず最高!やっぱり勘違いだろ?席戻れよ」


何故か爆笑する瀬野くんに「えー、でも…」「やっぱり見間違いだったんだよ」と腑に落ちない様子でそれぞれの席へと戻っていった。



「えっ?いいのかな…??」


大人しく席へと戻って行く女子達の背中を見つめる。



「ゆず、マジで"真田くん"知らねぇの?」


「えっ?あ、うん…」


さっきから出てくる"真田くん"と言う名前の男の子の友達はいない。


皆、誰を私と見間違いたんだろう?



「あっ、そう言えば花火大会の時さ」


瀬野くんが急に花火大会の話題を出してきて、ドキッと心臓が鳴る。



「先に帰ったって聞いたけど大丈夫だった?」


「あ、うん…。ユキくんが送ってくれたので」


「ユキが?」


へぇー…と瀬野くんは意外そうな顔をした。




< 178 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop