キミを想う。
「さ、真田くんって誰ですか?」
「………えっ?」
私の発言に周りにいた女子達が言葉を失ったかのように黙った。
「あははっ!ゆず最高!やっぱり勘違いだろ?席戻れよ」
何故か爆笑する瀬野くんに「えー、でも…」「やっぱり見間違いだったんだよ」と腑に落ちない様子でそれぞれの席へと戻っていった。
「えっ?いいのかな…??」
大人しく席へと戻って行く女子達の背中を見つめる。
「ゆず、マジで"真田くん"知らねぇの?」
「えっ?あ、うん…」
さっきから出てくる"真田くん"と言う名前の男の子の友達はいない。
皆、誰を私と見間違いたんだろう?
「あっ、そう言えば花火大会の時さ」
瀬野くんが急に花火大会の話題を出してきて、ドキッと心臓が鳴る。
「先に帰ったって聞いたけど大丈夫だった?」
「あ、うん…。ユキくんが送ってくれたので」
「ユキが?」
へぇー…と瀬野くんは意外そうな顔をした。