キミを想う。
「ちょっとゆず!どういうこと!?」
朝のホームルームが終わり、体育館へ始業式のために移動しようと準備をしていると、菜々ちゃんが怒った様子で教室にやって来た。
「ゆず、あいつと付き合ってるの!?」
「えっ!?」
勢いよく迫ってくる菜々ちゃんの迫力に負けそうになる。
あいつって、きっと"真田くん"だよね?
菜々ちゃんまでそんな噂信じるなんて…。
ちょっとへこむ。
「菜々子、それ以上話すな」
「はぁ!?なんでよ」
隣で笑って見ていた瀬野くんを菜々ちゃんは少し睨んだ。
「耳貸せ」
ちょっと来いと手招きして菜々ちゃんを呼びつけると、耳打ちで何かコソコソ話している。
「はっ!?本当に?」
瀬野くんが何を言ったのか分からないが、菜々ちゃんはびっくりした表情をした後、私に呆れた表情を見せた。
「帰るわ…。今日は始業式の後に部活だから、また明日の昼休み、一緒にお弁当食べよう」
そう言って菜々ちゃんは自分の教室へと戻って行った。
「ゆず。明日の昼飯、菜々子も誘って中庭で食べよう」
「…うん」
瀬野くんが菜々ちゃんを誘うなんて珍しいな…と思いながらも、誘いを了承した。