キミを想う。



「ちょっとゆず!どういうこと!?」


朝のホームルームが終わり、体育館へ始業式のために移動しようと準備をしていると、菜々ちゃんが怒った様子で教室にやって来た。



「ゆず、あいつと付き合ってるの!?」


「えっ!?」


勢いよく迫ってくる菜々ちゃんの迫力に負けそうになる。



あいつって、きっと"真田くん"だよね?


菜々ちゃんまでそんな噂信じるなんて…。


ちょっとへこむ。



「菜々子、それ以上話すな」


「はぁ!?なんでよ」


隣で笑って見ていた瀬野くんを菜々ちゃんは少し睨んだ。



「耳貸せ」


ちょっと来いと手招きして菜々ちゃんを呼びつけると、耳打ちで何かコソコソ話している。



「はっ!?本当に?」


瀬野くんが何を言ったのか分からないが、菜々ちゃんはびっくりした表情をした後、私に呆れた表情を見せた。


「帰るわ…。今日は始業式の後に部活だから、また明日の昼休み、一緒にお弁当食べよう」


そう言って菜々ちゃんは自分の教室へと戻って行った。



「ゆず。明日の昼飯、菜々子も誘って中庭で食べよう」


「…うん」


瀬野くんが菜々ちゃんを誘うなんて珍しいな…と思いながらも、誘いを了承した。




< 179 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop