キミを想う。
「笑うだろ」
次の日、廊下は登校してきた生徒で騒々しいが、私は誰にも声をかけられることもなく教室へと足踏み入れる。
「おはよ」
教室に入り、席につくなり瀬野くんが挨拶してきた。
「お、おは…よ…う」
突然のことで緊張で噛みまくる私に、瀬野くんは笑顔でもう一度言った。
「ん、おはよう」
ニコッと微笑む瀬野くんにドキドキする。
今まで怖いとしか思ってなかったのに、今日は何だか違うように見える。
「あ、あの…」
「郁斗ー!お前、昨日急に帰んなよ!」
私の小さな声を掻き消すように、横から大きな声が飛んできた。