キミを想う。
翌日、"真田くん"と私の噂がヒソヒソ聞こえる中、やっと昼休みを迎え安堵する。
「腹減ったー」
三和くんは大きな声で言うと、コンビニの袋に入ったお弁当を持ったままベンチに腰掛け、「暑っちー」と言いながらシャツで額の汗を拭う。
「郁斗がお昼誘ってくれるなんて珍しいね」
「あ?あぁ…それはゆずに"真田くん"を紹介しようと思って」
ニコッと面白そうに話す瀬野くんと一緒にお昼を食べられることが嬉しい菜々ちゃんは、ご機嫌な様子で私と並んでベンチに座った。
「えっ!?紹介…?!」
まさか"真田くん"を瀬野くんに紹介されると思っていなかった私はびっくりして危うくお弁当箱を落としそうになった。
「"真田くん"?あー、女子が朝から騒いでるやつか」
タケくんはパンを噛りながら呆れたように言った。
「来た。こっち!」
瀬野くんが誰かに手招きしている方向へと視線を移す。
「……なに?」
相変わらずの低いテンションと、暑いのに汗ひとつかいていない涼しげな表情でユキくんがやって来たかと思うと、いきなり目が合ってしまった。