キミを想う。
「あっ、こ、こんにちは…」
「……あぁ」
「なに?お前ら?噂聞いて気まずいの?」
どう会話をしていいか分からず、視線を逸らしながら挨拶をする姿を見て、お弁当を食べていた三和くんは不思議そうに聞いてきた。
「あ、いえ…。えっと」
「…なに?あの噂」
「ユキくんも聞いたの?!」
「えっ?うん…」
まさかユキくんにまで"真田くん"と私との噂が届いているとは思わず、びっくりした声をあげてしまった。
「……別に噂なんか無視すればいいだろ」
ガサガサと袋からパンを取り出すと、瀬野くんの隣に腰を下ろした。
「ユキ、ゆず、"真田くん"って誰?」
「…はっ?」
笑いを堪える瀬野くんに苛立つような返事をするユキくん。
「誰って…」
何言ってんだ?と言いたげな表情のユキくんに、「…知ってる?"真田くん"って誰か」と呟く。
「………はっ?」
「えっ?」
持っていたパンを危うく落としそうになったかと思うと、次の瞬間持っていたパンを強く握りだした。
「どういうことだよ?」
珍しくユキくんが怒った様子で瀬野くんを睨み付ける。
「ダメだ。面白すぎる!」
「もー、ゆずいい加減気付きなよ!」
爆笑し始める瀬野くんと菜々ちゃんに状況を飲み込めない三和くんとタケくん、そして私。