キミを想う。
えっと…、どうしたらいいのかな?
なんて答えるべき…?
「ゆず!」
頭の中でどう返すべきか考えていると、背後から菜々ちゃんの声が聞こえ、はっと我に返り体が動く。
「なにしてんの?!早くお昼食べないと休み時間終わっちゃうよ!?」
「あ、うん…ごめんなさい」
背後から近付いてくる菜々ちゃんに返事をして、すぐにユキくんの方に振り返るが、ユキくんの姿は校舎の中に既に消えていた。
ちょっと安心した。
菜々ちゃんが来てくれて。
「あいつ、他人に興味あるんだね」
「……えっ?」
「意外とストレートでびっくり」
「…ストレート?」
なにが?と言う顔をすると菜々ちゃんは呆れたように溜め息を吐いた。
「ゆずって自分の気持ちにも鈍いけど、周りからの気持ちにも鈍いんだね」
「そ、そんなこと…」
あるのかな…?
確かに、菜々ちゃんが瀬野くんのこと好きだって気付かなかったし、瀬野くんのこと好きだって自分の気持ちにも気付かなかったけど。
自分の気持ちにも気付かないのに、他人の気持ちなんてもっと分からないよ。