キミを想う。



「あー、えっと折角だけど、お礼はまた今度何かで会った時に、"あの時はありがとう"って一言言ってもらえたら大丈夫です」


絆創膏あげただけでお礼とか申し訳ない。


それにデートの邪魔しちゃダメなことぐらい、私でも分かる。



「あ、ごめん。あいつがゆずからの返事聞く前に映画のチケット購入しちゃったみたい」


スマホをいじっていた瀬野くんが苦笑しながら困る私の方を見る。



「夏休みに公開してたやつみたいなんだけど、面白いって評判で観たかったんだって」


「えっ!?」


「もう一人誰か誘っていいし、加穂に付き合ってやって」


「…はい」


加穂さんと出掛けられるからか瀬野くんの表情はニコニコしているように見えた。



友達って菜々ちゃんしかいないんだよな…。


でも今度の土曜日は大事な試合があるって言ってたし、無理だよね…。




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