キミを想う。
「そうだったんですね。あれ?でも、何で私も…?」
彼氏さんとデートがなくなったとして、そこでどうして私が誘われるんだろう?と疑問に思う。
「実は…ちょっと郁斗と気まずくて」
言いにくそうにユキくんと並んで前を歩く瀬野くんに視線を向ける加穂さん。
「映画のチケット郁斗にあげたら?って拓ちゃんに言われて、一緒に行く子いないからいいかって、郁斗に渡したら一緒に行こうって誘われて」
「でも、ちょっと花火大会の時に気まずい感じに私はなっちゃって…」
花火大会…。
ユキくんが見ないように隠してくれた二人のシルエットを思い出し、胸がギューっと痛くなる。
「お祭りの時に折角来てくれた拓ちゃんと些細なことでケンカしちゃって、帰ろうとしてるとこに郁斗と会って、泣いてるとこ見られちゃったの」
恥ずかしいよね…と苦笑しながら髪の毛を耳にかける加穂さんの横顔はやっぱり美人だなと改めて感じる。