キミを想う。
やっと体育館に着き、菜々ちゃんに案内され急いでステージの袖へと進んでいく。
息切れを何とか落ち着かせようと呼吸を整えるが、なかなか汗がひかない。
ユキくんも何故か一緒に付いてきて、体育館のステージの袖で一緒に出番を待っている姿は、走ってきたようには見えないくらい爽やかだった。
「ごめんね!菜々ちゃん!笹原さん!急にボーカルの子、体調崩しちゃって」
「でも折角ここまで練習してきたから演奏したくて…」
ベースの女の子とキーボードの女の子が頭を下げる。
「ううん!私の方こそ、上手く歌えるか、逆に迷惑かけてしまわないか心配で…」
ステージでは違うバンドが演奏をしていて、体育館は最高潮に盛り上がっている。
私が出て場がシラケないか不安になる。
「菜々ちゃんから歌が上手だって聞いてるから心配してないよ!」
ドラムのスティックを持っている女の子が安心させる為なのか、大丈夫って信じてるよ!と訴えかけてきているようで、逆にプレッシャーになる。