キミを想う。
今、流行りの曲のコピーを2曲歌い終えると、さっきのバンドよりも大きな拍手が起こった。
ペコっと頭を下げて、なるべく観客の方を見ず、皆でステージ袖へと戻る。
明るいステージから一転、真っ暗なステージ袖へと戻り安堵する。
き、緊張したー…。
手が未だに小刻みに震えている。
「笹原さん!真田くん!本当にありがとう!」
「おかげですごくいい演奏が出来たし、いい思い出が作れたよ!」
「笹原さんも真田くんも二人共上手過ぎて、演奏中ずっと鳥肌立っちゃった!」
ベース、キーボード、ドラムの子と順にお礼を言われる。
「ううん!ご、ごめんね…。歌い出し、声が上手く出なくて…」
「全然!!急に頼んだのに頑張ってくれたもん!気にしなくていいよ!」
「ありがとう…」
皆、優しくて涙が出そうになる。
勇気を出して良かった…そう思っていると、ユキくんに突然腕を掴まれた。
「行くよ」
えっ!?まだ会話終わってないのに!と思いながらも、一緒に体育館の裏口から外へと出る。
外は太陽の日差しが眩しく、外に出た瞬間クラっとして、その場に座り込んでしまった。