キミを想う。



「郁斗、来てたな…」


「う、うん…!ユキくんも気付いたんだ」


「そりゃ気付くでしょ?大きい声であんなこと言うやつ、あいつしかいないよ」


困ったような笑みを浮かべるユキくん。



「……ユキくん」


「ん?」


「あ、えっと…、しゃ、写真!撮ってもいいかな?!」


あまりに優しく「ん?」と言うユキくんにドキッとして思わず焦ってしまう。



「……えっ、嫌」


真顔で返答され、一瞬固まってしまう。



「…ケチ。ユキくんは私のこと撮ったのに」


ブツブツと文句を言うと、バレてたんだ…と言う表情をする。



「あー…、分かったよ!その代わりにあんたの写真もちゃんと撮らせて」


視線を逸しながら恥ずかしそうに咳払いをするユキくんに、思わず笑ってしまう。


「いいよ」




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