キミを想う。
「ゆず、携帯貸して」
「…携帯?」
授業が終わり、帰る仕度をしていると瀬野くんが声をかけてきた。
右手を私の方に差し出す瀬野くんに、疑問に思いながらも携帯を渡す。
携帯を受け取ると無言で触り始めた。
「え、えっと…」
急に携帯を弄られ心配になる。
何してんの!?
「ん」
瀬野くんを見つめてると、携帯を返された。
「俺のアドレス入れといたから」
「…えっ?」
瀬野くんのアドレス?
「今日みたいな時は連絡して」
今日みたいな時って、屋上に行けなかったこと…?
よく分からないけど、瀬野くんの表情がいつもと違って見えた。
「……うん」