キミを想う。
「ゆずがいるんだから」
春の風が吹く午後。
「菜々子、お前邪魔」
迷惑そうな顔で菜々ちゃんを見つめる瀬野くん。
「邪魔って何よ。ゆずと話してるだけじゃんね?」
「う、うん」
いつものように瀬野くんの席に座ってる菜々ちゃんに頷く。
「ノブの所に行ったらいいじゃん」
「何でお前が決めてんだよ」
休み時間、たまに私のクラスに遊びに来る菜々ちゃんは教室を見渡した。
「あれ?ノブは?いないね」
「タケんとこだよ。お前も教室戻れよ」
はぁ〜と溜め息を吐く瀬野くんに菜々ちゃんはお構いなしに喋り続ける。