キミを想う。
「歌えって…。あんた人前で歌えんの?」
「無理だよ!だから困ってんじゃん!」
「でも郁斗、曲入れたっぽいよ?」
「えっ?」
菜々ちゃんの言う通り、室内には曲が響き始めた。
気持ち良さそうに堂々と歌う瀬野くん。
でも、瀬野くん…。
本当にあんまり歌上手くないんだね。
「郁斗、音程外れてんぞー」
「うるせぇ!」
三和くん達が茶々をいれるが、瀬野くんは楽しそうに歌い終えた。
「じゃあ次はゆず」
「えっ!?」
マイク越しに名指しする瀬野くんに、皆の視線が私に注目する。