キミを想う。
しばらくしてカラオケ店を出て、ぶらぶらと街中を歩き回る。
菜々ちゃんは瀬野くんに近寄り、楽しそうに会話をしていた。
協力して…って、何を協力したらいいんだろ?
積極的に行動している菜々ちゃんを見つめ考える。
今考えれば分かるのにな。
どうして気付かなかったんだろ?
あんなに菜々ちゃんの表情が、恋してる女の子の顔なのに…。
「あ、悪ぃ!俺、急用出来たし帰るわ!」
携帯をいじっていた瀬野くんが突然声を発した。
「はぁ?何だよ、急に」
「マジ悪い!」
三和くんに手を合わせて謝ると、走って駅の方へと向かって行った。
「ちょっ、郁斗!?」
菜々ちゃんが不満そうに瀬野くんに声をかけるが、瀬野くんは振り向くことなく帰って行った。