キミを想う。
第3章
「幸せ逃げんぞ」
「最近、屋上来ねぇな」
「え、あ…うん」
屋上から戻ってきた瀬野くんに話し掛けられ、ドッキーンと心臓が跳ねる。
「何で?」
「え…、あの」
どうしよう、何て言えばいいのかな。
動揺と緊張で頭が働かない。
なかな言葉を発さない私を不思議そうに見つめる瀬野くん。
ダメだ!
そんなに見つめられたらドキドキしちゃう!
「ゆず?どうした?」
「…あ、う…いや」
顔を近づけ、耳を傾ける瀬野くん。
いつもと同じように耳を傾けてくれているだけなのに、何故か体中が熱くなる。