キミを想う。
「花火大会」
「ごめんね。最近、一緒にお弁当食べられなくて」
手を顔の前で合わせながら、菜々ちゃんは申し訳なさそうな表情をした。
「ううん。大丈夫だよ。菜々ちゃんもクラスの友達と食べた方がいいだろうし。気にしないで」
私が友達が出来ないばっかりに菜々ちゃんにまで気を使わせてしまうなんて…。
こっちが申し訳ないよ。
学校に向かう途中、菜々ちゃんは今日も一緒にお弁当が食べられないことを気にしてか謝ってきた。
最近は屋上にも行かず、非常階段でお弁当を食べることが多い。
何故だかたまにユキくんが来るときもあるが、相変わらず会話は弾まない。
でもその時間も好きになってきつつあった。
慣れてきたのもあるだろうが、話さなくてもいい空気が心地よく感じていた。