Shoegazer,Skygazer
「……あんたがそう思うなら勝手だけどね、自惚れるのも大概にしてよ?」


「あたしのこと嫌がるのも勝手だけど、ここは公園なんだから『来るな』ってのはおかしくないかなぁ?」


……いきなり攻めの角度を変えやがった。

足をばたばたさせるのをやめ、不思議そうな顔でこちらをじっと見つめてくるミケ。

なにがしたいんだろう。

俺に会いたいのか、俺に『会いたい』と言わせたいのか、単純に暇つぶしか、俺を言い負かしたいのか。

どれだったとしても、不快であることに変わりはない。


「……なら、お望み通りに帰るから」


鞄を肩にかけながら立ち上がる。

ミケのほうは振り向かないで、公園を出るべく歩みを進めた。

木陰から出た途端、攻撃的にすら思える夏の日差しが俺を刺す。

それにほんの少しくらりとしたが、その中で確かな言葉が聞こえた。


「――待って!」


待つわけないだろ馬鹿が。

ミケの声にはどこか悲痛さすら含まれていたが、無視。

俺が帰るのは自分のせいだと分からないのか。

しかし次の瞬間、背中に軽い衝撃を受けるとともに――ミケに後ろから抱きつかれたのだと理解した。

無視して歩こうとしたが、こいつはがっちりと俺の体に腕を回して離さない。


「暑いんですけど」


「ごめん、からかったのは謝るから……待って」


唐突にしおらしい声を挙げて、ミケは俺の腰に回した腕に力を込めてくる。

ぎゅう、と押し付けられる身体。


何がしたいんだこいつは、本当に。
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