Shoegazer,Skygazer
 
いつのまにか俺の隣に座っていたらしい。

周りの情報を排除しすぎていてちっとも気が付かなかった。


年頃は俺と同じくらいの、少女。

私服姿だから、もしかしたらサボりの大学生かもしれない。

タンクトップにホットパンツという活動的な出で立ちで、首を傾げるとセミロングの髪がさらりと揺れる。

くりくりとした無垢な瞳をこちらに向けてきているが、人と目を合わせる事に慣れていない俺には居たたまれなかった。


「なに、って」


「君、コーコーセーでしょ? いけないんだぁ、サボり?」


いたずらっぽく笑いながらそう言うと彼女は立ちあがり、んーっ、と唸りながらひとつ伸びをする。

くるりと振り返ると、俺に向かって今度は屈託なくにこりと笑う。

それが俺には太陽よりも眩しく感じられて目を逸らした。


「えへへ、でもあたしもサボり。お仲間さんだね」


「……一緒にしないで」


俺のしている行動は、世間一般から見れば彼女の言うとおり『サボり』に他ならない。

それは分かっている。

だけど、他人から言われることに耐えられなかった。


こちらから歩み寄る意思を見せていないというのに、それでも彼女は笑う。


「なに、つれなーい。こんなに暑いのに、よく外で勉強してられるね」
 
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