Shoegazer,Skygazer
駆け込んだのは、公園の裏のコンビニ。

利用する毎度不便に感じていたのだが、公園から出て、ぐるりと公園の周りを通らなくてはならない。

つまり、今走った距離もその程度ということ。

普段は面倒なものだが、すぐ裏手にコンビニがあることに今は感謝せざるを得ない。

無いよりはましなのだから。


駆け込んだといっても、中には入らずに屋根のあるところまで。

多少濡れた体で入っても迷惑にしかならないだろうし、それに、あからさまに雨宿りが目的なだけではこれもやはり迷惑のはず。


「はぁっ、あー、ミヤタ君意外と足早いね……学校サボってて体育出てないくせに」


そして俺にとっての迷惑はしっかりついてきた。

少し息が上がっている。

同じ不登校でも、体力面ではこちらの勝ちらしい。

しかしそんなことは瑣末どころか全くもってどうでもいい。


「やかましい。ついてこないでくれる?」


一瞥してそう言うと、ミケはちょっとだけ困ったような顔をした。

そんなんでほだされるわけがあるか。


「うう、あたしだって濡れるのはやだもん……」


「俺だって嫌だよ」


会話が破綻してる気がする。

いや、相手にするだけ時間の無駄だし、ここで話し込むわけにもいかない。

軽く水を拭って傘でも買ってさっさと去るのが好ましいだろう。

予定外の出費となるが、まあいい。


ミケの髪と上半身の濡れ具合をちらりと一瞥し、おそらく俺も同じくらい濡れているんだろうなと思いつつ鞄からハンドタオルを取り出した。
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