Shoegazer,Skygazer
レジに傘を出すと、覇気のない声でいらっしゃいませ、と言われた。

フリーターだろうか。

なんとなく同類の匂いがする。

そこから事務的なやりとりを交わし、傘の購入は大したこともなく終了。


その間ミケが静かにしていたものだから拍子抜けというか、意外だった。

てっきり人目があることを武器に恋人のふりでもして、俺がミケを置いて帰りにくくするくらいのことはやってのけるかと思ったのに。


それどころか、店内から彼女の姿は消えていた。


全く、本当に猫みたいな奴だ。

散々気まぐれにこちらを振り回して、都合のいいときは甘えようとして、諦めが悪いくせにいざ諦めたら切り替えが早い。

といっても俺は猫なんて飼ったことがないので、イメージの話である。

あんな性格で友達を無くさないのだろうか?

いや、遊ぶ友達が居ればこう毎日俺に絡んで来るわけがない。

女子は群れたがるものだと思うが、あいつは群れる相手を間違えている。

あの明るさ、いや馴れ馴れしさがあれば、友達のひとりやふたりくらいならあっさり作れそうなものなのに。

そこから付き合いが長続きするかどうかはまた別物だが。


さて、では今日のところは帰ってしまおう。

そろそろ母親が昼の仕事に出たはず。

それに、もともと今は授業が無いのだ。

期末試験が終わった試験休み真っ最中で、学校に行くふりも必要がない。

ただ母親と同じ屋根の下にいるのがなんとなく息苦しくて、結局同じように公園に来てしまっているだけだ。
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