Shoegazer,Skygazer
俺の抱く感想としては、真逆だ。
「空とか見てると、死にたくなるよ」
そう吐き捨てると、彼女は不思議そうな声とともに俺に向き直る。
思わず顔を俯けて目を逸らした。
「どうして?」
「どうしても」
これもやっぱり大した理由なんてなかった。
まるで海に落ちて死ぬように、空に落ちて死ぬ錯覚。
どこまで広がっているのか分からない、ただただ気持ちが悪い無限の青を見ていると背筋が寒くなる。
ちっぽけな人間には抗いようのない『なにか』を見せつけられているような気がして。
写真や映像でしか見ないブラックホールなんかよりもずっと恐ろしいものじゃないかと思う。
「青、って。自然には少ない色じゃないか」
「そんなことないよ。空も海も、花にだって青いものはあるじゃない」
「それでも少ない」
どうしてこんな、見ず知らずで初対面の変な少女に饒舌になっているんだろう。
俺の胸の内を分かって欲しいのかもしれない。
知り合いじゃないからこそ吐露できるものを、受け止めてほしいのかもしれない。
この上無くわがままな自分にまた嫌気がさした。
「それがあんな大きさで頭の上に広がってるだなんて見たくもない。死にたくなる」