Shoegazer,Skygazer
俺は母にとって、自らを削るほど尽くす価値のある存在なんだろうか。
機械のように学校へ行って、機械のように与えられたスケジュールをこなすだけ。
母に返せるものなんて、果たしてあるんだろうか。
一方的に期待されたって困る。
それでもし俺が転落するような人生を歩むことになれば、裏切ったと母は罵るのだろうか。
俺はどうしたらいいんだろうと、立ち止まれない場所で立ち止まろうとした結果、居場所を見失った。
「……ねえ、そうやって地面ばっか睨んでて楽しいの?」
ふいにかけられた声にはっとなる。
彼女に言われた言葉が、母にかつて言われた言葉と重なった。
――どうして、理解度はAなのに授業態度がCなのかしら。
同じ数字の並ぶ通知表。
同じアルファベットが並ぶそれの中で、どの教科も決まって授業態度はCだった。
理由なんて、出席率の低さ以外に思い当たるものがない。
だけども母は、それを知らない。
俺は答えた。
さあ、俺の目付きが悪いから、教師を睨んで小馬鹿にしているようにでも見えたんじゃないの――
俺は上を目指す事をやめた。
俺は空を見る事をやめた。
母の期待に答える理由が見当たらなかった。
諦観だけが日々降り積もるなか、少女はとどめのように俺に向かってこう言うのだった。
「地面にだって、例えば埋まって死ねるのにね。どういうふうに死ねたら君は幸せなの?」