イケナイ太陽

新たなターゲット

「それと職場では柳と呼べと言っているだろう。」

あーもう、うるさい。
柳と呼べば満足なのか。


柳は饗庭の言葉が気にくわないのか、眉間にしわを寄せて睨んだ。

そんな父を横目で見ながら饗庭は話しを続ける。


「暗殺か…。久しぶりだな。今までテロの手伝いや情報収集ばっかだったからな。で、そんな手こずった奴だ。どんな奴なんだ?」


これは本心だ。
より楽しく任務を遂行するために念入りに作戦をたてないと。

そのためにも早く奴を知らねば。


「そういえばお前には言ってなかったな。これが資料だ よく覚えておけ。」


親父は片眉をぴくっと上げてそう言うと、机の下の方から数枚の紙を取り出し、俺に渡した。


俺は正直、初めて自分を疑った。


「………まじかよ。」

「分かっているだろうがこいつの担当はお前だ。明日出発、殺し方は任せる。じゃあな。」


…納得、行かねえ。


「待てよ!」


俺は、言うのを少し躊躇ってから口を開いた。


「………こんな奴にあんな長い時間使ってたのか?」

「そうだ。何が気にくわない?」


俺はとにかく疑問をぶつけた。


「気にくわないのは当たり前だ!!資料間違えてんじゃねーだろうな!?今まで何人も行ったんだろ?そいつら何やってたんだよ!!!」


ハァ…ハァ。
俺としたことが…少し感情的になりすぎたか?


だが、とにかく次の親父の言葉で俺のモヤモヤは解消される。
そう考えると落ち着くな。


「こいつにやられたんだ」

「はぁ!!!???」


親父のその回答によって、消えると思っていたものがまた一気にふくれあがる。
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