恋病薬
Ⅰ
*姫は王子様と出逢う*
「はぅぅ〜;」
「ホラ?どうしたの?、早くこっちにおいで?」
ジリジリと此方に手を差し伸べ近付いて来る美男子様…
あぁ…
私はいったい何て事をしたのでしょうかっ!!!?
―――――さかのぼる事今より1時間とちょっと前…
春の日射しがポカポカ暖かい教室の窓辺。
そんな窓辺で二人の女の子の影が風に揺れるカーテンに見え隠れしている。
「入学して1週間…だいぶん学校にも慣れてきたね」
黒いクセっ毛のロングの髪を揺らし、そんな事を呟いているのは私…―――朝倉 姫〈アサクラ ヒメ〉
「そうね~、でも私は姫ちゃんが居るから初日から気はらくだったわよ♪」
「あっ、ありがとう千代ちゃん/////」
この娘は、凉川 千代〈スズカワ チヨ〉、中1からずっと仲の良い親友です!!
千代ちゃんは綺麗に切り揃えられたミディアムの髪を少し茶色く染めている、前髪は左右にわけられてて、顔だちもスゴく良いし、綺麗な大きな瞳が印象的。
可愛いより綺麗や美人の言葉の似合う千代ちゃん。
そんな千代ちゃんは中身も大人、しかも超お金持ち…
平凡以下な私なんかと全然違うからスゴく羨ましかったりする。
ん…?
そうだ…そう言えば…
「ねぇ千代ちゃん?」
「何、姫ちゃん?」
千代ちゃんが窓から顔を此方に向ける。
「千代ちゃんの家ってスゴくお金持ちなのに、何でこんな一般な高校に入学したの?」
ふと思ったのだ…
お金持ちの人って、結構名のある学校とか、お金がスゴくかかる学校に行ったりしそうなイメージがあるから。
「姫ちゃん…今更それを聞くの?;今まで中学も一般だったでしょ?;」
「あ、そっかぁ!」
千代ちゃんは『何を言ってるんだ、この娘は』とでも言いそうな顔をしてひとつタメ息をついた。
「私ね、普通な暮らしに憧れてるの、だから幼稚園だって親に無理言って普通な所に通ったんだぁ」
「普通な暮らし…?」
「っそ、普通な暮らし♪」
ニコッと微笑む千代ちゃん。
「今こうして姫ちゃんと二人で話せる…そんな普通の暮らしが楽しくて、私は大好きなの」
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