恋病薬
そう言うと千代ちゃんは私を除きこんで…


「姫ちゃんは?」

「ほぇ?」

「姫ちゃんも楽しい?」


そんなの、決ってるっ!

「勿論だよっ!!♪」


私は即答してみせた。

「良かったぁ♪」

ふふっと笑う千代ちゃんは、やっぱり綺麗だった。







あれから、駅前のケーキ屋さんが…とか、この前の本が…など他愛もない話をしていたら、もう30分近く話し込んでいた。


「早いわねぇ姫ちゃん、もうすぐ朝のHRよ」

「わっ!?ホントだっ!!」

教室の時計を見れば8時25分、HRは8時30分からだから、そろそろ先生も来るだろう。


「ごめんね、ちょっと話し込んじゃった。身体は大丈夫?疲れてない?」


心配そうに私を見る千代ちゃんは中学からかわりなくて、ちょっぴり安心する。


「大丈夫だよ♪このくらいなら何ともないよ!」

千代ちゃんを安心させるためにニッコリと笑う。


「そう?、なら良いけど…無理しちゃだめよ?、じぁまた後で」

それを言えば、千代ちゃんは席に戻って行く。

千代ちゃんの席は私の席から一番遠い。

私の席が一番前の一番端、窓際。

千代ちゃんの席は一番後ろの一番端、通路側。


一緒のクラスになれたのに…
ちょっと悲しいなぁ。


HRまであと3分程なのに先生は珍しく来ない。


「(どうしたんだろう先生……ん…今、人が…)」

私はボーッと考え事をしながら窓の外を眺めていると……


ポロッ


「あっ!?」


…やってしまった;


つい、気になるモノを見付けて開いた窓から顔を…いや…身体を乗り出した私の胸ポケットから落ちた大切な物…


ヤバいっ!!


その時、教室の扉が音をたてて開いた。


ガラリ。


「よぉ~し、HRはじめ…「すいません先生っ!!ちょっと下に行ってきて良いですかっ!?」」


いきなり先生の言葉を遮って叫ぶ私に、クラスの皆は何事かと私を見る。


「いきなりどうしたんだ朝倉?;」

「……落ちちゃいました…」

「?」

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