年上ヤクザ
「はぁ…山下組が…乗り込んできました。
今、若い衆が抑えてます。」
私の嫌な予感は当たった。
「…分かった。
中津、お前はセレナの傍を離れるな。」
ベッドに座っていた亮が立ち上がり、言った。
「…亮…行くの?」
不安にならない訳がない。
「あぁ、セレナも若い衆も俺が守らなきゃな。」
亮が弱く微笑んだ。
「…私も行く…。
私がまいた種だから。」
そんなことを亮が許すはずがない。
「無理だ。
中津がいるから、大丈夫だよ。」
そう言って亮は階段を降りて行った。
扉が閉まった瞬間、私の体は震えだした。
亮が…キチさん達が…
また笑顔で話すことができない気がした。