年上ヤクザ
~春日セレナ~
私は亮の腕の中で涙を流した。
「…分かったから」
そう言って亮は立ち上がり、山下久信に言った。
「山下、もう…手…組まないか?」
「手…?」
山下久信は驚きを隠せないらしい。
「あぁ。俺の女が言ったんだ。ヤクザ仲間として仲良くしようぜ?」
亮の声はとても優しかった。
でも…
「一つだけ…いいか?」
少し声のトーンを落として、亮は言った。
「…一発だけ…
殴らせてくれ。」
殴る…?
私の頭は混乱した。
すると…
グイッ
バキッ!
私にも分かる、人を殴る音がした。
見ると、肩で息をしている亮と、床に倒れている山下久信がいた。