年上ヤクザ
「…ハァーア。あれ?亮…そうだった。」
目が覚めた時、隣は冷たかった。
「おはよう、セレナ。…元気ない?」
「圭介、おはよう。うん、ちょっとね。」
今日の授業は全然頭に入って来なかった。
「ただいま。」
「セレナ、俺さ今日もちょっと夜出掛けるから。」
私が帰るなり亮にそう言われた。
ただいまって言ったのに…
お帰りって言ってほしかった。
「うん…分かった。」
悲しみだけが今の私の心にあった。
「ねぇ、亮。昨日…本当に仕事だったんだよね?」
「…そうだよ。」
私に嘘ついた。
でも…
「分かった。」
そうとしか言えない弱い自分。
確かめる。今日もまた私は亮の後に家を出る。