年上ヤクザ
ガチャ。
私が二人の会話を聞いていると、扉が開く音がした。
「セレナさん?」
振り向くと…
「中津さん…」
今休暇中の中津さんだった。
「セレナさん!若頭が捜しています!」
亮が…
いつも冷静な中津さんが少し大声をだした。
「兄貴…。」
「セレナちゃん…組長との約束だよ。」
裕也さんが静かに言った。
今…中津さんに助けてもらうことは簡単にできる。
でも…それは出来ない。
「中津さん…私…山下組の組長と結婚するんです。」
「はっ…?」
「だから…亮に…そう伝えて…ください。」
中津さんは少し怒っている。
「何故ですか!若頭は貴方を大切にしてたんだ!」
分かってる…。
分かってるけど…
「…山下組の組長を好きになっちゃったんです。」