愛して。【完】
タバコを吸い始めて少しすると、蓮達がぞろぞろと戻って来た。
蓮は煙草を吸っているあたしを見ると、眉間に皺を寄せる。
「真梨、何吸ってんだよ」
「別にいいじゃん。ニコチン切れたんだもん。本当ならついでにアルコールも摂取したいくらい。
それに、蓮達もそれなりに吸ってるみたいだし…そんな中、あたしだけダメって有り得ないでしょ」
そう言って、ほら、と言う様に灰皿の中の吸い殻を指差す。
蓮は諦めたのか、溜息を吐くと黒ソファーにドカッと腰を下ろした。
それからしばらくしても扉の前で動かない4人を不思議に思ってそっちを見ると、颯はハッとした様に動き出して、他の3人は顔を赤くしたまま固まっていた。
「……どうかしたの?」
あたしがそう問いかけると、3人とも我に返る。
大河とタカはそのまま歩いて白ソファーに座り、隼は「真梨カワイー!!」と言って、抱き着いて来た。
…これで、何で4人が固まっていたかがわかった。
あたしの髪色が変わってて、しかも足を放り出していて、男子が言う“色気”ってやつが出てるんだと思う。
抱き着いたままの隼が、あたしの髪を指に巻きつけながら聞いて来た。
「真梨、髪色変えてたの?」
「うん、気分で変える」
「へぇ、これって地毛?目は?ホンモノ?」
「地毛だよ。全部、ホンモノ」