愛して。【完】
そう言った瞬間、少し声のトーンを落としたあたしに何を思ったのか、ハーフなの?とは聞いて来ない。
逆に、テンパなの?と聞かれた。
確かにあたしのクルクルの髪はテンパで。
でも、テンパのくせに傷んでないんだよね。
そして、少し乾き始めた髪は、水分を無くしてストレートからクルクルに変わっている。
「そうだよ。テンパ」
「へぇ~…綺麗だね!」
そう言って笑う隼に、笑い返した。
“綺麗だね”か……
言われなれた言葉。
そして、言われなれたくない言葉。
綺麗だね、って言われると嬉しいかもしれないけど…
あたしからしたら、綺麗になんて生まれたくなかった。
それからしばらく雑談をして、寝ることになった。
あたしは勿論、蓮の部屋で蓮と寝るわけで。
しかも、まだそんなに眠くない。
それでも蓮は、あたしを抱き上げると、寝るぞ、と言って総長室にそのまま連れて行かれた。