愛して。【完】
しばらくそのまま硬直しているあたし。
そんなあたしに、蓮の視線が突き刺さる。
「な…に、すんのよッ!!」
我に返ってそう言うと、蓮を下から睨みつける。
でも蓮は、無表情であたしを見下ろしていて。
そんな姿に、鳥肌が立った。
蓮はそんなあたしにうるせぇ、と言うと、また唇を近付けてきた。
「いやっ!!」
そう言って、顔を逸らす。
でも、蓮はそれを許してはくれなくて。
蓮の手によって正面を向けられた唇に、蓮はさっきとは違って食いつくように口付た。
男の人の力に敵わないとわかっていても、あたしは必死に抵抗する。
何で抵抗するのかなんて、わからない。
別に、誰とでも一緒だし。
誰とキスしても一緒。
でも、でも…ッ!!
蓮が不良だということが、あたしの心のどこかで許せない。
何で不良とは無理って、ただ不良は質が悪いから無理なだけ。
でも、あたしは変な所で強情だから。
これだけは、譲れない。
あたしは、不良とは――…シない。