愛して。【完】





「――…り………り……ま…り……真梨!」




誰かに名前を呼ばれて、閉じていた目を開ける。


目の前には、あたしの顔を覗き込むように隼がいた。




「隼…おはよ」


「おはよ。起こしちゃってごめんね?」


「別にいいよ」




そう言って周りを見渡すけど、隼以外に誰もいない。


どうやら、隼一人で来たらしかった。


でも、ちょうどよかった。


あの日の夢を見た後だったから。


誰かがいないと、きっとあたしはどうにかなっちゃう。


多分、今のあたしは特に。


“遊び”と言う行為は、一種の精神安定剤だったから。


いくら獅龍のみんながいるといっても、今のあたしで一人になってしまった日には、どうなるかわからない。




ふぅ、と息を吐いてから、自然に鞄からポケットへと移されたタバコの箱を取り出した。


タバコを一本吸おうと箱の中を見るけど、何もない。


タバコが…きれた。


え…あたし、昨日から3本しか吸ってないよね?


ただでさえもう限界なのに…


あたし、そろそろニコチン足りなくて死ぬよ?!


…しょうがない、買いに行くか。







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