愛して。【完】





どうして人は、生きたいと思うのだろうか。


どうして人は、輝きたいと思うのだろうか。


どうして人は、笑っていられるのだろうか。


そう思うかどうかも、人それぞれだと思うけど。


多くの人が、輝くために何かをしていて、笑って生きている。


その多くの人の中に、あたしは含まれていなくて。


殺して、と思うのに、自分では死ねない様な弱虫。


輝きたい、とも思えないほど汚れているのに、希望が捨てられない様な弱虫。


笑えないほど心が凍っているのに、心を許してしまいそうになる様な弱虫。


どれにしろ、あたしは人間としてのあたしを捨てきれない弱虫なんだ。


でも、どうしたって人間にはなりきれなくて。


人間なのに、人間じゃない気がしてくる。


こんな容姿だし、


こんな性格だし、


こんな……弱虫だし。


どうしたってあたしは、この太陽の様に隠れるのは一瞬になんて、出来ない。


隠れた後に…逃げた後に輝くことなんてできない。


あたしはあの場所から逃げて、そしてあたしはこの醜さを利用したにすぎないのだから。







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