愛して。【完】





それを見て、近くにいたオレンジの髪の男も近付いて来て、2人はあたしを下から見上る。


あ、赤髪はどっちかって言うと睨み上げたって言う方があってるかも。




「…濱本光【はまもとひかり】…です」


「伊勢虎太郎【いせこたろう】……よろしく…お願いします」




赤髪が光で、オレンジ髪が虎太郎。


…何で、自己紹介…と言うか、名前を教えてくれたんだろう。


意図が、掴めない。




「…敬語」


「「え?」」


「敬語、使いたくないなら使わなきゃいいじゃん。つーか、あたしに敬語なんて使ってどうなんのよ。
蓮達にそうしろって言われたとか、何か理由あんのかもしれないけど…


あんた達がそんな風にあたしに話し掛けてたら、こっちが気持ち悪いわ。鳥肌立つ。
…特に、光」




あたしのその言葉に、二人は顔を真っ赤にする。


でも、それは照れてるからとかじゃなくて。


ただ、怒ってるだけだ。




「ふっざけんな!!颯さんが、自己紹介しとけって言うからしてやったのに!!」


「別に、してほしいなんて言ってないし、颯がそう言ったのはあんた達二人が、下っ端のまとめ役だからじゃないの?
なのにしてやったって、偉そうに…
それが上に立つ人の態度なわけ?

普通、上に立てば立つほど、頭さげなきゃいけないんじゃないの?」




暴走族の場合は、総長が頭を下げるなんてありえないかもしれないけど。


一般的には、部下がへまをしたら上司が頭を下げるでしょ?


もしくは、上司も一緒に。


それが社会の在り方だと、あたしは思う。








< 143 / 404 >

この作品をシェア

pagetop