愛して。【完】
それを見て、近くにいたオレンジの髪の男も近付いて来て、2人はあたしを下から見上る。
あ、赤髪はどっちかって言うと睨み上げたって言う方があってるかも。
「…濱本光【はまもとひかり】…です」
「伊勢虎太郎【いせこたろう】……よろしく…お願いします」
赤髪が光で、オレンジ髪が虎太郎。
…何で、自己紹介…と言うか、名前を教えてくれたんだろう。
意図が、掴めない。
「…敬語」
「「え?」」
「敬語、使いたくないなら使わなきゃいいじゃん。つーか、あたしに敬語なんて使ってどうなんのよ。
蓮達にそうしろって言われたとか、何か理由あんのかもしれないけど…
あんた達がそんな風にあたしに話し掛けてたら、こっちが気持ち悪いわ。鳥肌立つ。
…特に、光」
あたしのその言葉に、二人は顔を真っ赤にする。
でも、それは照れてるからとかじゃなくて。
ただ、怒ってるだけだ。
「ふっざけんな!!颯さんが、自己紹介しとけって言うからしてやったのに!!」
「別に、してほしいなんて言ってないし、颯がそう言ったのはあんた達二人が、下っ端のまとめ役だからじゃないの?
なのにしてやったって、偉そうに…
それが上に立つ人の態度なわけ?
普通、上に立てば立つほど、頭さげなきゃいけないんじゃないの?」
暴走族の場合は、総長が頭を下げるなんてありえないかもしれないけど。
一般的には、部下がへまをしたら上司が頭を下げるでしょ?
もしくは、上司も一緒に。
それが社会の在り方だと、あたしは思う。