愛して。【完】
その瞳は、強がりの中に悲しい色を見せる。
なのに、言ってることは間違ってなくて。
それが…たまらなく、悔しい。
凄く…悔しいんだ。
「光」
隣にいる虎太郎が、俺に声を掛ける。
「なんだよ」
「今のは、お前が悪い」
んなこと、言われなくたってわかってる。
わかってんだよ。
でも、アイツは…アイツはっ!
どうしても、好きになれなくて。
どうしても、アイツの存在を認めたくなくて。
どうしても…どうしたって、俺は大人にはなれない。
アイツに男を奪われた女の……あの女の姿が、脳裏から離れない。
そして、アイツ、“水川真梨”の瞳も……
俺の脳裏から、離れてはくれないんだ。