愛して。【完】
突然出てきた水川真梨の名前に、へ、と間抜けな声が出る。
「どういう…こと、ですか?」
横にいる虎太郎の声に答えるように、大河さんが携帯の画面を俺達に見せる。
その画面には、仲良さげに歩いている隼さんと水川真梨が歩いていて。
「これは…?」
「チェンメだ」
間隔をあまり開けずに言う大河さんの言葉で、ヤバい、と言う意味が理解できた。
仲良さげに歩いている隼さんと水川真梨が歩いている写メが入ったチェンメ。
それは……危険信号。
女嫌いの隼さんが一緒にいる水川真梨。
それは……水川真梨が獅龍の“姫”だと思われるには、十分な理由。
そして、今、これは回って来た。
チェンメは、信じられない速度で回っていく。
今から止めても意味がないだろう。
それは……水川真梨が、狙われることを示している。
この世界は、汚い世界だ。
上に立つためなら、何でもやる。
獅龍は正統派で、女に手は出さないし、武器も使わない。
勿論、クスリなんて厳禁だ。
でも、違う族もいる。
女を拉致って、優位に立って、その族を潰そうとする族なんて沢山ある。
それは……
俺達と、水川真梨の……
危険信号。